天翁院(小山市)概要: 祇園山天翁院萬年禅寺は栃木県小山市本郷町一丁目に境内を構えている曹洞宗の寺院です。天翁院の創建は平安時代後期の保元元年(1156)、小山政光(藤原秀郷の後裔とされる大田政光が小山城に入り小山氏に改称)が開基し代々の菩提寺としたことが始まりと伝えられています。当初は北山(小山市中久喜地内)にあり万年寺と称していましたが室町時代後期の天文年間(1532〜1555年)に小山高朝が現在地に移して堂宇を再建(現在地は小山氏の居城である祇園城の郭内部で、祇園城の防衛の一翼を担うように計画されたと思われます。)、培芝正悦(曹洞宗の僧、上野双林寺で出家)を招き中興開山し、天正2年(1574)に高朝が死去すると法名である「天翁孝運」にちなみ「天翁院 」と寺名を改称しています。文化5年(1808)火災により多くの堂宇、寺宝、記録などが焼失し、時の住職仙宗が再興し今日に至っています。
天翁院境内には文化5年(1808)の火災後の防火樹として植えられたというコウヤマキや歴代小山氏の墓碑、小山高朝の書状(乗国寺宛、昭和41年:1966年、小山市指定文化財)、天翁院蔵板碑(113基、昭和39年:1964年、小山市指定有形文化財)などがあり歴史の重さが感じられます。コウヤマキは推定樹齢400年以上、樹高約27m、目通幹周約3m、枝張り東西約8m、南北約8m、昭和60年(1985)に小山市指定天然記念物に指定されています。
寺宝である「絹本著色培芝正悦像」は永正12年(1515)に天翁院を中興した培芝正悦が越前国(福井県)の龍泉寺時代に自賛したもので縦57.8cm、横38.8cm、栃木県内には円相図は作例がなく大変貴重である事から平成18年(2006)に栃木県指定重要文化財に指定されています。
天翁院本堂は木造平屋建て、入母屋、本瓦葺き、平入、桁行8間、正面3間軒唐破風向拝付き、外壁は真壁造白漆喰仕上、花頭窓付。鐘楼は切妻、銅板葺き、外壁は柱のみの吹き放し、木部朱塗り。山号:祇園山。寺号:萬年禅寺。宗派:曹洞宗。本尊:釈迦如来。
|